圧迫撮影法の意義と工夫(ルーチン検査・精密検査)

第7回 胃X線精度管理研究会 パネルデイスカッションのまとめ より(一部抜粋)



圧迫の目的は、二重造影法の盲点(弱点)を補うこと

ル-チン検査



Q - 1. 圧迫をいつ行いますか?

  最後の方で行う (佐藤・都築・松本・杉野・小田)

   ・空気が少ない時に行うため。

   ・十二指腸への造影剤流出を防ぐ。

   ・蠕動誘発と粘液が多く、上手く押せない。

  腹臥位の場合:前壁撮影前後(中原)

   ・立位圧迫の場合:二重造影撮影後


Q - 2. バリウム量は、どの程度使用しますか?
  150ml   (佐藤・都築・松本・中原・杉野・小田)


Q - 3. 圧迫時の体位は?
  立位圧迫 (通常・基本的に)   (佐藤・都築・松本・杉野・小田)
  腹臥位圧迫 (立位圧迫が出来ない場合) (佐藤・松本・杉野)


  まず、水平位腹臥位圧迫 を試みる(中原)
   ・だめなら、後半に立位圧迫


Q - 4. 圧迫部位は、どの部位を押しますか?
  幽門前部と前庭部 (佐藤)
  胃体下部 (都築・松本・中原・杉野・小田)
  ・胃角部
  ・胃角小弯
  ・前庭部
  ・幽門前部
  ・十二指腸球部


Q - 5. 4分割の場合、押す部位の順序はどうしますか?
  前庭部→幽門前部 (佐藤)
  胃体下部→胃角部→胃角小弯→前庭部→幽門前部→十二指腸球部
                     (都築・松本・杉野・小田)
  幽門前部→前庭部→胃角部小弯より→胃角部大弯より  (中原)


Q - 6. 圧迫が出来ない時の対応は?
  腹臥位圧迫 (佐藤・松本・杉野)
  空気量を変えた二重造影像 (佐藤・松本・杉野)
  ゲップ後、少量空気の二重造影像、 幽門部中心 (松本)
  寝台を倒し幽門前部に空気が入った時 (都築)
  水平位右廻りから左側臥位くらいで、胃の形が矯正された時 (都築)
  無理しない (中原)

ルーチン圧迫の手技
 圧迫法の概念(考え方)
  主に病変の表面模様や凹凸変化といった表面性状を表す 弱い圧迫
  深部胃壁の肥厚や伸展不良を表す意味合いの  強い圧迫


 精密検査
  質的診断のため
   a.表面模様や凹凸変化の表面性状
   b.深部胃壁の厚さ・硬さ
  を表す圧迫の2通りがあり、意識的に使い分ける。


   <隆起病変>輪郭、形状、大きさ、高さ、立ち上がりの性状、表面の性状、陥凹の有無、移動性、軟らかさ、硬さ
  <陥凹病変>陥凹の輪郭、陥凹の構造(二段構造や陥凹内の隆起の有無)、辺縁の隆起の有無や性状、襞との関係、伸展性


精密検査圧迫の手技
A. 腹臥位圧迫 (精密検査)
 Q - 1. 圧迫をいつ行いますか?
  最初の方で行う (松本・小田)
  ・空気が少ない時に行うため。
  ・十二指腸への造影剤流出を防ぐ。

 Q - 2. バリウム量は?
  少なめ (中原・小田)
  120ml  (松本)
  体型・病変などに応じて(杉野)


 Q - 3. 透視台の傾斜は?
  水平位、ときに頭高位 (松本)
  台の起倒を微調整 (小田・中原・杉野)


 Q - 4. 圧迫用フトン?
  自由に加工できるフトン (松本・小田・中原・杉野)


 Q - 5. 圧迫の強弱は?
  フトンの厚さと台の傾斜角度 (松本・小田・中原・杉野)


B.立位圧迫 (精密検査)
 Q - 1.圧迫をいつ行いますか?
  最初と最後の方で行う (松本・小田)
  ・空気が少ない時に行うため。
  ・十二指腸への造影剤流出を防ぐ。
  体型・病変などに応じて(中原・杉野)


Q - 2. バリウム量は?
  少なめ (中原)
  120ml  (松本)
  100~150ml、バリウムは適宜追加(小田)
  体型・病変などに応じて(杉野)


Q - 3. 透視台の傾斜は?
  頭高位60度前後 (松本)
  台を倒し気味・起倒を微調整 (小田・中原・杉野)


Q - 4. 圧迫用道具?
  圧迫筒に発泡スチロール (松本)
  圧迫筒と体の間にフトン (松本・小田)


Q - 5.その他?
  椎骨とはずして撮影 (小田)